嵐の領域のクレリックは、PHB掲載のスターターサブクラスの一つで、雷や稲妻を使って、積極的に敵を倒すことに重点を置いています。
攻撃魔法のオプションが多く、武器や防具の扱いにも長けたこのクラスが強力なのは言うまでもありませんが、さらにその身をまるで嵐のようにするかのように、近づいてきた敵に壊滅的なダメージを与えたり、弾き飛ばしたり、自在に空を飛んだりといったことまで可能になっていきます。
嵐のような能力は具体的にどのような戦闘オプションを提供してくれるのか、見ていきましょう。
領域呪文
Lv3-ガスト・オヴ・ウィンド、シャター
Lv5-コール・ライトニング、スリート・ストーム
Lv7-アイス・ストーム、コントロール・ウォーター
Lv9-インセクト・プレイグ、デストラクティヴ・ウェイヴ
嵐の領域呪文のほとんどは、嵐や、自然災害を連想させるような呪文になっています。
それらの呪文の効果はバーストダメージを与えるもの、継続ダメージを与えるもの、そしてエリアコントロールのためのものの三つです。どれも戦闘時に非常に役に立つ呪文が揃えられています。
バーストダメージを与える呪文は、サンダーウェイヴ、シャター、アイス・ストーム、デストラクティヴ・ウェイヴの四つです。
サンダーウェイヴとデストラクティヴ・ウェイヴは自分の周囲の敵にダメージを与える魔法で、通常これは後衛キャスターだと扱いにくい呪文なのですが、嵐の領域は前衛適正が高いため、これらの呪文が非常に扱いやすくなっています。
シャターは全てのLv2範囲攻撃呪文の中で最優秀と言っていい効果範囲とダメージを所持しており、これをクレリックが使うことができることがありがたいです。
アイス・ストームはバーストダメージとエリアコントロールを掛け合わせたような呪文で、ダメージと同時に、後退または接近してこようとする敵の移動を阻害することが可能です。また、この呪文は射程が非常に長く、通常の呪文では届かない距離を打ちのめすことができます。
継続ダメージを与える呪文はコール・ライトニングとインセクト・プレイグです。
コール・ライトニングは単体攻撃で、一撃のダメージもファイア・ボールに及びませんが、持続時間が10分と長く、長射程を持つ安定したダメージソースとして活用することができます。
インセクト・プレイグも10分持続し、こちらはダメージを与え続けるエリアを生み出します。うまく敵をこの中に押し込めておくことができれば、膨大なダメージが期待できるでしょう。
エリアコントロールのための呪文はフォッグ・クラウド、ガスト・オヴ・ウィンド、スリート・ストーム、コントロール・ウォーターです。
フォッグ・クラウドは敵の視界を一時的に塞ぐことができ、後衛に混乱を引き起こします。
ガスト・オヴ・ウィンドはそういったガス状の攻撃に対する対抗策でもあり、また敵の接近を阻むこともできる呪文です。
スリート・ストームはかなりの広範囲を隠蔽し、さらに相手の移動を大きく阻害します。フォッグ・クラウドの全体的な上位互換と言って良いでしょう。
コントロール・ウォーターは水流の流れを操り、水辺での戦闘時に敵の動きを制御するのはもちろん、水上移動中であれば、冒険中にも役に立つ四つの効果から使い分けることができます。
全体的に、これらの呪文リストは戦闘向けの呪文が揃っており、このサブクラスが戦闘向けのクレリックであることを象徴しているといえます。
習熟追加
重装鎧は前衛に立つための鎧として定番で、【敏捷力】を鍛える必要なくACを上げることができるため重要です。
同じく軍用武器も単純武器では得られない、より高い威力の武器や特殊な特性がついた武器、より良い遠隔武器などを選択できるため、これらの特徴を得られるということは武器戦闘が得意になるということです。
嵐の領域は、呪文リストを見る限り一見後衛魔術師のように見えますが、後に覚える能力のいくつは、武器戦闘を強力にサポートしており、まるで光の領域のように、魔術による範囲攻撃も、戦の領域のように、武器による攻撃も、両方こなせる非常に攻撃特化なクレリックになっています。
リソースを消費しない攻撃は武器で、リソースを消費する攻撃は呪文でと明確に分けることができるのもわかりやすくて良いですね。
嵐の怒り
また、君は1Lv時点で、君から5ft以内にいて君から見えるクリーチャーが攻撃で君にヒットを与えたなら、君はリアクションを用いてそのクリーチャーに【敏捷力】セーヴィング・スローを行わせることができる。
そのクリーチャーはセーヴに失敗したなら2d8電撃または雷鳴(どちらにするかは君が決定する)ダメージを受ける。
君はこの特徴を【判断力】修正値に等しい回数だけ使用できる(最低1回)。大休憩を終えるたび、消費した使用回数はすべて回復する。
1lvで反撃のための能力を得ます。この能力は対象が5ft以内にいることが条件としてあるので、武器攻撃の中でも、近接武器のビルドの方がより適しているといえます。
ゲーム序盤の威力として2d8のダメージはかなり重要です。lv1の呪文を自分を殴ってきた相手にリアクションで唱えることができるのと同じような威力があり、それを一日に何回か行うことができます。非常に良いですね。
低レベルのときは、この反撃ダメージで敵クリーチャーは死ぬ可能性があるため、ダメージを受けたとき、宣言できるならしていきたいところです。
しかし、この能力の問題は威力が上がらないことです。Lv1の時点からあまり最後まで変わらないということですね。
序盤で2d8のダメージを与えるのは凄いことですが、レベルが上がるにつれてこの能力の印象が低くなっていきます。
しかし無料で反撃できることは変わりありませんし、この能力が使用する雷撃ダメージは、この領域の将来的に得る特徴と非常にシナジーがあります。
神聖伝導:破壊の怒り
これは嵐の領域全体を通して大きな可能性を秘めています。
2lv時点では選択肢がやや限られておりますが、サンダーウェイヴや”嵐の怒り”の効果のダメージをこの神聖伝導で最大化し、16点の固定ダメージを与えることができます。
レベルが上がってくると、デストラクティヴ・ウェイヴなどのダメージを上げ、範囲の敵にかなりの被害を与えることもできるようになるでしょう。
コール・ライトニングは残念ながら、彼らの呪文持続時間中の、単一の雷のみに効果が適用されることに注意してください。
ライトニング・ボルトやチェイン・ライトニングが使えれば最高だったのですが、領域呪文には残念ながらありません。
逆にそれらの呪文を使うことができるウィザードやソーサラーが、嵐の領域を2Lvだけマルチクラスするのはよく見る光景です。
しかし、クレリックはレベルが上がると神聖伝導の使用回数が増えるため、もちろん嵐の領域を伸ばし続けても強力なことに変わりありません。
さらに、この能力はダメージをロールする際に使用を決定できます。
これは対象がセーヴに成功したかどうかを見れるということで、セーヴに失敗した相手にこの能力を発動することで、より高威力の雷を的確に与えることができるのです。
押しやる電撃
この効果はかなりすごいですね。電撃ダメージを与えれば、たとえそれがセーヴによってダメージが半減されたとしてもこの押しやり効果が発生します。
通常このような押しやりには何らかの対抗判定が必要なので、それを強制するのはかなり用途が広いです。
惜しむらくは電撃ダメージのみが対象ということです。
この時点ではコール・ライトニングと嵐の怒りのみが対象となっており、使いやすいシャターや、サンダーウェイヴなどの雷鳴ダメージは対象ではありません。
とはいえコールライトニングで10分間、相手を10ft後退させ続けるのはあなたのパーティに大きな余裕を与えます。
そしてやはり、この能力も雷をメインとするウィザードやソーサラーが欲しがる能力といえます。
信仰込めた打撃
素晴らしい能力。この領域が武器攻撃を得意としていることは、重装鎧や軍用武器に習熟しており、5ft以内の反撃能力があることから明らかでした。それらのダメージを加速させてくれます。
あなたは初級呪文を唱えるより大きなダメージを確実に与えることがここにきてできるようになったでしょう。そして、このダメージは電撃ダメージです。
覚えているでしょうか?先ほどの、”押しやる電撃”能力は電撃ダメージをトリガーとして相手を押しやります!つまり、あなたは武器攻撃を行うと敵を強制的にノックバックさせることができるようになったということです。
これは非常に敵の位置コントロールがやりやすくなったといえます。
味方の後衛に張り付いた敵を吹き飛ばすもよし、敵を崖下に叩き落とすもよし、さらに奥の敵に突撃するために隣接した敵を弾き飛ばすのもよし。
あなたに近づいてきた敵はすべからく弾かれる運命にあるでしょう。
さらに、この能力は神聖伝導:破壊の怒りとも相性が良いです。2d8の電撃ダメージは神聖伝導によって16点の電撃ダメージに化けることになるでしょう。
嵐の子
単純明快ですね。この能力があれば、あなたはファイターやバーバリアンの上を飛び回りながらドラゴンやデーモンたちと戦うことができます。
永続的な飛行能力は、近接戦闘要員にとって最強の能力の一つであり、嵐の領域クレリックがこの能力を得ることで、マジックアイテム用のスロットや精神集中用の呪文にかなり余裕が出ることになります。
飛行能力は戦闘外での有用性も非常に高いです。あなたは今では困難な地形を無視することができますし、飛んでいれば軽業判定に失敗することもありませんし、回復やその他の援護を必要とする味方により簡単にアクセスできるようになるでしょう。
惜しむらくは、地下ダンジョン攻略を目的としたシナリオではこの能力は役に立たないということです。
あなたが参加するべきシナリオシチュエーションは、野外や侵略、戦争といった要素が中心になっているものが良いでしょう。
嵐の領域に対する見解
嵐の領域は、とてもシンプルです。できることは限られていますが、彼らが得る能力は最前線でクレリックが与えるダメージを増やす、ダメージディーラーとしての能力を大きく向上させるものになっています。
武器攻撃と範囲魔法攻撃のどちらをとっても、通常のクレリック以上の力を持ち、近づいたものに反撃を与え遠くへ弾き飛ばす力を持ったあなたはさながらまるで本物のハリケーンのようになれます。
彼らは主に序盤から中盤が最も強力に活躍することができます。
電撃魔法をメインとするウィザードやソーサラーがマルチクラスをするのにも向いていますし、嵐の領域だけを伸ばしていくと、他のクラスでは殆ど見ることのない永続的な飛行能力も手に入れることだってできます。
シンプルに攻撃的なクレリックを求めているなら、嵐の領域がお勧めです。ぜひ使ってみてください。
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