システムゲートウェイで新規追加されたカードのレビューです。今回はジンテキ編。
過去のカードを参照はしますが、コンボなどの考察をする際は、システムゲートウェイ内だけで完結するように考えています。

ID
アイデンティティ メガコープ
デッキサイズ:40 – 影響力 15
あなたのディスカードフェイズ終了時、アーカイブに裏向きのカードがある場合、1金得る。
ジンテキの新ID。カードをアーカイブに裏向きにトラッシュするときというのは、コーポが自発的にトラッシュしたときである。
コーポの自発的トラッシュは通常、ハンドサイズがオーバーした状態でターン終了を迎えたときであるが、systemgatewayのジンテキ派閥にはいくつか自発的にカードをトラッシュする効果のカードがある。それらを有効利用していこう。
効果が発動するタイミングがディスカードフェイズ終了時なので、ランナーがアーカイブに執拗にランを仕掛けてきたとしても、カードを捨てたターン終了時の1回は最低でも発動する。
ランナーがこの効果を嫌ってアーカイブにラン攻勢をかけてくるかどうかは状況次第だろうが、アーカイヴを、通行料を課すような軽いアイスで守っておくことは、このIDならばやってもいいだろう。
計画書
3アドバンス2点
計画書:リサーチ
あなたがこの計画書を獲得したとき、HQから任意の枚数のカードをトラッシュする。そしてアーカイブから最大3枚までのカードをR&Dに加えてシャッフルする。
デッキ1枚につき1枚まで。
ジンテキに追加されたデッキ一枚制限の3/2計画書。特殊効果はアーカイブからカードを3枚までR&Dに戻すことであり、Preemptive ActionとDistract the Massesを合わせ、いい所を抽出したような効果になっている。アーカイブからカードを戻す効果は比較的貴重であり、強い。
単純に使ってしまった任務カードや、トラッシュされた資材・強化カードなどを再利用可能な状態にするのも強いが、事前にHQから任意の枚数トラッシュできることで、HQに溢れてしまっている計画書を即座に逃がす目的にも使えたり、裏向きのカードを1枚だけ残すことで、今回追加された新IDの能力発動条件を満たす目的でも使用できる。
計画書を戻す目的の場合、アーカイブにカードを残したままランナーにターンを渡す必要がないためPreemptive Actionと比べるとそこが良い点である。
資材
レゾコスト0
資材:待ち伏せ
トラッシュコスト2
影響値: ●●○○○
あなたはこの資材をアドバンスさせることができる。
ランナーがインストールされているこの資材にアクセスしたとき、2ネットダメージに加えホストされているアドバンスカウンター1つにつき1ネットダメージを追加で与える。
Project Junebugを扱いやすく再調整したカードである。アドバンスカウンターが乗っていなくてもランナーへの2ダメージを保証し、アドバンスカウンター1個でもダメージ総量を上回っている。
2個で互角である。3個以上乗っているときこそProject Junebugがダメージ量で上回るが、そんな事態は稀でありそのような大量投資が必要な仕掛けが失敗したときはコーポが負けているときである。
また、Project Junebugは0だったトラッシュコストが設定されており、これはR&DやHQからアクセスされたときの本カードの防御力を上げているといえる。
総じて”仕掛け”に要するリスクが減り、少ない投資コストでより高いリターンが挙げられるようになっている。罠かもしれないと思わせることがランナーのランを鈍らせるのである。
アイス
レゾコスト2
アイス:コードゲート-対人
強度: 3
影響値: ●●○○○
サブルーチン 1ネットダメージ与える。プリントされているプレイコストやインストールコストが奇数であるカードをトラッシュした場合、ランを終了する。(0は奇数ではない)
サブルーチンは1ダメージのみで、確実にランが止まるわけではなく、コーポ側から見ると一見頼りなく見えるアイスだが、実は違う。
ランナー側にとってはグリップ内に1枚でもコストが奇数のカードがある場合、ランが通るか通らないかが確かでなくなるのだ。1ダメージ受けるが、少なくともランを通せる場合と、ランが通らないかもしれない場合ではランを行うことへの心理的圧力が違う。
結果として、レゾコスト2でありながらまるで1ダメージとランの終了を同時に持つアイスかのように振舞うこともでき、フェイスチェックしにきたランナーに対して、デコーダーがインストールされるまで十分な性能を発揮してくれるはずである。まるでさながら、コストが安くなったEnvelopeのようである。
ランナーはグリップ残り枚数が1枚のときにランを仕掛けることで、トラッシュされるカードを自分で選ぶことが可能になるが、ジンテキ相手にそのような行動は無謀と言わざるを得ないだろう。
レゾコスト4
アイス:セントリー-対人
強度: 3
影響値: ●●○○○
サブルーチン 2ネットダメージ与える。ランナーはジャックアウトしてもよい。
サブルーチン 2ネットダメージ与える。
Neural Katanaの効果調整版。サブルーチンが増え、総合ダメージは3から4に増えているが、ランナーには途中でジャックアウトする権利が与えられている。
ジャックアウトする権利というのはつまりランの終了である。ランナーはよほどのメリットがあると踏んでいない限りフェイスチェックの結果4ダメージを受けることは避けたいと思っている。
NISEIはフェイスチェックに失敗して即GGになるゲームを減らすと言っており、このジャックアウト可能になっているのもその方針によるものだろう。
つまり、このカードには突き進む選択肢はあるが、無策だった場合、NISEIとしてはジャックアウトしてほしいのである。
特に奥に待ち構えているのがUrtica Cipherだった場合、4+2ダメージ以上が確定し、ランナーにとってほぼ死が確定する。
R&DやHQのランナーが得意とする方や資金系の資材など、100%ランをシャットダウンさせたいわけではないが、あまりランを通してほしくない場所などを守るのに非常に向いているといえる。
もちろん、前述のUrtica Cipherと併用してランを誘い、即死を試みてみるのもありだろう。ただ、ランナーが相当追い詰められている状況でない限り、あまり成功率は高くないと私は思っている。
ランナーがセントリーを使えるようになってからも、サブルーチンが増えているため通行料が上がっているのも地味にありがたい所である。
任務
コスト5
任務
影響値: ●○○○○
10金得る。HQにカードがある場合、そのうち1枚をトラッシュする。
Hedge Fundと同じコストで5金のアドを得られるカード。5金のアドがある任務は他にIPOやRestructureがあったが、どちらもこのカードより使用するためのコストがやたらと高く、また使うと即座にターンが終了したりといったデメリットがあった。
Hansei ReviewにあるデメリットはHQのカードを1枚捨てることだが、これは新IDのJinteki: Restoring Humanityにとってはデメリットではない。
アーカイブに裏のカードが落ちている状態はIDにとって良い状態だからである。
捨てるカードもランダムではなく選べるため、計画書を誤って捨ててしまうこともないだろう。新IDと特に相性が良いカードのうちの一枚と言える。
コスト3
任務 触法
影響値: ●●●○○
Xネットダメージ与える。Xは、このターン中に獲得した計画書に印刷された計画ポイントの合計に等しい。
任務でランナーにダメージを与えるカードは、ランナーへの“トドメの一撃”に使われることが多い。ウェイランドでいうところのPunitive Counterstrikeに相当し、恐らくローテションで消えていったNeural EMPの代わりになるカードだろう。
悪い点は条件が少々厳しいことだ。ターン中に得点した計画書のポイント分だけダメージを与えることができるが、コーポは3クリックしかない。
このクリックを全てアドバンスのために使ってしまってはカードをプレイできないため、それ以下のクリック数で得点を行う必要がある。
フィニッシャーであるべきなので、できればこのカードを二連打して確実にキルしたいことを考えると、1クリックで得点する必要がある。
となると、条件は限られてくる。5/3のような計画書を、4アドバンス状態でターンを回し、その次のコーポで前述のコンボを打ち込むのである。もしくは、HBのようなクリック数を増やすのが得意な派閥の協力を得たりそちらに出張する必要があるだろう。
良い点もいくつかある。まず、このコンボは決まればランナーに抵抗する手段がほぼないことだ。前述のPunitive Counterstrikeは受動的に発動できるが、トレースが発生するため、コーポに大量の資金が残っていなければ成立しなかった。こちらはほぼ確実である。
また、このカードがジンテキであるというのも追い風だ。通常は4アドバンス状態でランナーにターンなど回すことはできない。しかし、ジンテキには常にUrtica Cipherというアドバンス可能な待ち伏せトラップの影がチラつき、ランナーのラン判断を鈍らせる。
結果、他の派閥よりもブラフが成立しやすい。仕掛けに失敗した、踏むと致命傷を負う待ち伏せなのか、それともNeurospikeによるキルコンボを狙っているのか。ジンテキだからこそできる選択を迫ることができるのも醍醐味だ。
強化
レゾコスト0
強化
トラッシュコスト1
影響値: ●●●●○
ランナーがこのサーバーに近づくたびに、あなたは2金支払い、HQからカードを2枚トラッシュしてもよい。そうした場合、ランを終了する。
ランナーの状況に関係なく、コーポがコストを払うことでランを強制終了させることができるカード。得点サーバーに設置するべきなのは明白であり、その防御力は非常に高いといえる。
NISEIは低コストで比較的ランナーにとって致命的な結果を引き起こさない有情なアイスを作っている傾向があるため、高コストのアイスばかりで、そもそもラン不可能なサーバーを作るといったことは難しくなっている。
しかし、ランを通してきたランナーをこのような強化による(他の方法で)かわせる要素が増えているということだ。
注意点としては、ユニークカードなので複数枚手元にあってもあまり意味がないが、トラッシュコストが低く、R&DやHQからアクセスされたとき脆弱であることだ。
もしトラッシュされてしまったら、新計画書Longevity Serumの効果でR&Dに戻すことを検討しよう。
また、ランを終了させるコストの2金はともかく、HQから2枚トラッシュはなかなか厳しい。
捨てるカードは選べるとはいえ、通常、手札上限は5枚だ。他に計画書を所持していたりしたら、より選択肢は狭まる。
この効果を使ったことによって、資金用カードや重要なNeurospikeによるキルコンボ用のカードを捨てなければならないこともあるだろう。コーポも計画が狂ってしまうのだ。
とはいえ、強制ラン終了はやはり強力である。アイス4枚などに守られたリモートサーバーにこのカードがあれば、ランナーはランする気を大きくなくすだろう。ただしその場合、R&DやHQが脆弱になるため注意が必要である。
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