全ての力の基本は知識であり、知識の領域のクレリックは誰よりもそれをよく知っています。
彼らは他のクレリック・サブクラスとは全く違い、戦闘力よりも情報知識や判定への有用性を重視しています。
光の領域のように強力な範囲呪文が使えるわけではなく、戦の領域のように強力な武器戦闘能力があるわけではありませんが、知識の領域は彼ら独自の無数の道具を兼ね備えた強力なサブクラスになっています。
彼らの頭の中に眠っている知識はどのようなもなのか、さっそく触れていきましょう。
領域呪文
Lv3-オーギュリィ、サジェスチョン
Lv5-スピーク・ウィズ・デッド、ノンディクション
Lv7-アーケイン・アイ、コンフュージョン
Lv9-スクライング、レジェンド・ローア
知識の領域の領域呪文は、言わずとしれた「情報」に焦点を当てています。
アイデンティファイ、オーギュリィ、スピーク・ウィズ・デッド、アーケイン・アイ、レジェンド・ローア、スクライングなどがこれにあたります。
魔法のアイテムを調べる、行おうとしている行動の良し悪しを調べる、死体に見たことを喋らせる、透明な魔法の目を飛ばして偵察する、物体や土地に纏わる伝承や物語について知る、目標の周辺を常に監視する…。
これらの殆どは、情報を得るために、対象のアイテムや人物を持っていたり、思い浮かべている必要があります。
スクライングやレジェンド・ローアのような呪文は、準備が整っていれば絶大な力を発揮するので、計画的に使ってください。
ノンディクションは反情報の呪文で、敵対的なクリーチャーからの情報取得を阻止します。
陰謀めいたキャンペーンで、情報呪文を使ってくるクリーチャーが出てこないとあまり役に立ちませんが、謀略的なシナリオではこの呪文は素晴らしく、敵対的な魔術師があなたたちを見つけることを防いでくれます。
伝統的ハック&スラッシュではあまりこの呪文を気にする必要はないでしょう。
情報以外の呪文は、敵の行動を操作するためのもので、コマンド、サジェスチョン、コンフュージョンがあります。
サジェスチョンはうまく指示を与えてやる必要はありますが、これらの呪文は情報呪文よりかは戦闘中の使用に適しています。
総じて知識の領域のスペルリストは、戦闘が始まるより前に役立つ呪文が多く、それまでの準備や知識でパーティに貢献してくれるでしょう。
知識の祝福
また、以下のうち2個の技能を選択して習熟する。<自然><宗教><魔法学><歴史>そして、これらの技能を用いる能力値判定において、君の習熟ボーナスは二倍になる。
言語はそこまで重要ではありません。
低レベルのうちは良いのですが、Lv3呪文にタンズがあり、この能力を無効化するのに十分な性能を持っています。
もちろん、あなたのキャンペーンが特定の敵と大量に戦うことが分かっていれば、予めその敵が使う言語を集中的に取得しておくことは呪文スロットの節約に繋がり、よいことでしょう。DMに聞いてしまうのも手かもしれません。
習熟のボーナスは、より嬉しいメリットです。
クラスとしてのクレリックは、技能に二つ習熟していましたが、今回のボーナスで通常のクレリックの二倍の熟練度を得ることができます。
これは非常に重要なことで、この領域が持つ、専門家としての役割をより容易に果たすことができるようになります。
クレリックは【知力】が重要なクラスではないため、通常このステータスは上げません。
しかし、知識の祝福によって得られた技能習熟はボーナスが二倍になるため、高い【知力】を必要とせずとも、十分に判定への余裕を持つことができます。
選択できる技能は四つありますが、一つは<魔法学>を習熟しておくと便利です。これはこの中で最も一般的に判定の可能性がある技能で、汎用性があります。
また、魔法学を習熟しておくことで、呪文のスクロールを作成するための条件を満たすこともできます。
キャンペーン内の日数が長くかかるようなら、空き時間に巻物を記すことは冒険の役に立つはずです。
神聖伝導:万世の知識
多くのクレリックサブクラスにとって、神聖伝導はその領域のメインといえる能力でした。知識の領域はどうでしょうか?
これは神聖伝導の、戦闘以外のオプションです。
あなたが今必要としている技能に即座に習熟することができます。ダメージを与えることはできませんが、かなり汎用性が高いですね。
冒険中危険な場所を通らなければいけない?<軽業>に習熟しましょう。
強力なNPCの手を借りたい?<説得>に習熟しましょう。
これにはたくさんのオプションがあり、非戦闘時におけるあなたの万能性を高めてくれます。
ただ、道具の習熟に意味があるのは、その道具を持っている場合です。
道具は少し想像力を働かせないと活用が難しいですが、知識の領域ならば予めあらゆる職人道具を買っていてもいいかもしれません。
神聖伝導:読心術
ひとたび思考を読んだなら、ひいては相手を操ることもできるようになる。1アクションとして、君から60ft以内におり、君から見えるクリーチャー1体を選ぶ。
そのクリーチャーは【判断力】セーヴィング・スローを行う。目標がセーヴに成功したなら、君は大休憩を終えるまで同じクリーチャーにこの特徴を使用できなくなる。
目標がセーヴに失敗したなら、君は相手が60ft以内にいる間、表層思考が(今の感情や積極的に考えている事柄)が読める。
この効果は1分持続する。この期間中、君は自分のアクションを用いて”読心術の効果を終了させ、かつそのクリーチャーに対して呪文スロットの消費なしでサジェスチョン呪文を発動する”ことができる。目標はこのサジェスチョンに対するセーヴィング・スローには必ず失敗する。
Lv6では神聖伝導の別の使い道を与えます。複雑な能力に見えますが、分解してみるとLv2の呪文を2回唱えているということがわかります。
まず、1体のクリーチャーだけを対象とした「ディテクト・ソウツ」呪文を唱えます。深層心理を読むことはできませんが、【知力】の制限はありません。
これは愉快なことで、知能の低いアンデッドや、虫や小動物といったクリーチャーの表層思考も読むことができるということです。これらのクリーチャーの表層思考を読んでも大した効果は得られないかもしれませんが、この状態にしておくことで後半の能力を使用することができます。
ディテクト・ソウツに比べて射程距離が長いのも特徴ですが、こちらは壁を貫通することはできないようです。少なくとも、最初にこの能力を使った時点では。
一度使ってしまえば、60ft以内にいる限り常に見つけられるため、優先度の高いターゲットに”マーキング”するのも良いでしょう。
そして後半の能力。この能力の目標には、サジェスチョン呪文が無料で使用できるようになります。サジェスチョンは戦闘中に使うには少し難しいですが、巧妙な言葉遣いをすれば猛烈な力を発揮します。
完全に戦闘に突入する前なら、敵に撤退命令を下すこともできるかもしれません。
サジェスチョンが強力な効果を発揮するのは主に戦闘中以外で、この呪文を併用すれば毒の入った飲み物を飲むように誘導したり、特定の人物を追い払ったり、見張りのいるところを言葉巧みに通過できるでしょう。あえて見逃した敵に”怪しい人物はいなかった”と報告させてみるのもどうでしょうか。この能力には様々な活用法が考えられると思います。
ゲーム中最も戦闘外での汎用性のある行動操作の呪文といえますが、これにディテクト・ソウツが付いたものがこの能力と言えるでしょう。
残念ながら、戦闘中にこの能力を活用するには少し不便で、難しいですね。しかし戦闘外では、NPCの心を読み、そして自由に操ることができるはずです。
初級呪文ダメージ強化
ここに来て戦闘に使えそうな能力が来ました。他のクレリックサブクラスが持っているダメージアップ系能力と同じもので、知識の領域は武器攻撃ではなく初級呪文を強化します。
光の領域などと同じということですね。重装鎧にも習熟しておらず、光の領域と違い敵に接近する必要性は薄いため、おとなしく後衛にいた方が良いでしょう。
現在、ダメージを与えるクレリックの初級呪文はワード・オブ・レイディアンズ、トウル・ザ・デッド、セイクリッド・フレイムの三種類です。
ワード・オブ・レイディアンズは射程5ftの範囲攻撃で、効率的に複数の敵に【判断力】ダメージボーナスを加算することができます。
トウル・ザ・デッドとセイクリッド・フレイムはどちらも60ftのD8遠隔呪文攻撃ですが、それぞれ特殊効果があり、トウル・ザ・デッドはダメージを受けている対象にはD12にダメージが跳ね上がり、これは初級呪文では最高効率のダメージになります。
セイクリッド・フレイムは【敏捷力】セーヴの遮蔽を無視し、かつ光輝ダメージを与えるため抵抗される魔物が少ないことが特徴です。トウル・ザ・デッドは死霊ダメージのため、アンデッドなどのよく遭遇するクリーチャーにあまり効きません。
どのような初級呪文を取るにせよ、【筋力】や【敏捷力】ベースの武器を使う理由はあまりないでしょう。あなたの初級呪文はそれらの武器攻撃を容易に上回ることができます。
過去の幻視
17Lv以降、君は手にした物体や周囲の場所に関わりある過去の幻視を呼び覚ますことができるようになるり、それらに最近起きた事柄を夢のような形で幻視する。
このようにして幻視できる時間は最大で(君の【判断力】*1分)であり、その間は呪文発動しているかのように精神集中を維持している必要がある。
この特徴は1回使用したら、小休憩か大休憩をとるまで再使用できない。
1分瞑想したあと、君は直近の所有者がいかにしてこの物体を手に入れ、そして失ったかを知る。また、その物体と直近の所有者の両方がともに関係した、一番新しい特筆すべきできごとについても知る。
もしもその物体が過去(君の【判断力】*1日)以内に”直近の所有者”以外の別のクリーチャーに所有されていたことがあるなら、君は所有者1体ごとに1分を追加で費やすことで、それらのクリーチャーについても同様の情報を得られる。
1分瞑想するごとに1つの特筆すべきできごとを、一番新しい物から順に遡って幻視する。
“特筆すべきできごと”とは、通常、強い感情をともなうもの(たとえば、戦や裏切りや婚礼や殺人や出産や葬式など)が含まれる。
一方、もっとありふれた、だが君の現在の状況にとっては重要なできごともまた含まれる。
最後のレベルにおいて、あなたはサイコメトリー能力を得ました!カッコいいですね。
これは明らかに戦闘用の能力ではなく、戦闘の前か後に情報を得るための能力です。
ほとんどの場合、このレベルではあなたの【判断力】は20になっていると思われます。つまり、あなたは20分間瞑想し、物事を幻視できるということです。
物体解析は、二つの能力のうちより具体的なものです。所有者の変更があった場合のみ日数を気にするので、直近の所有者に対しての日数制限はありません。
これは人工物の歴史や、その歴史にまつわる真実、その物体をめぐっておきた争いや裏切りといったものを調べるのに便利です。
例えば、カルト教団の使っているナイフがあれば、そこからカルト教団の場所を特定するためにもこの幻視が使えるでしょう。
また、「物体」の定義は非常にあいまいです。DMによっては、髪の毛や、悪魔の角の破片を物体と見なしてくれるかもしれません。
エリア解析は具体的ではありませんが、より有益である可能性があります。
20日以内というのは、現実世界では大した時間ではありませんが、D&Dの世界では十分な時間です。これによって、多くの殺人事件の謎が一瞬で解明されるでしょう。
消えた人物がどのように隠れたのか、秘密の隠れ家を見つけたり、その場で起きた不思議な出来事はすべてあなたが瞑想するだけで解決することになります。
ただし、50ftの範囲はあまり広いとはいえません。慎重にエリアを特定するため、まずは情報を集めましょう。
知識の領域に対する見解
知識の領域は非常にユニークなクレリックサブクラスで、戦闘をあまり得意としていません。
戦闘がメイン要素になりえるD&D5eでこれは珍しいことですが、クレリックというクラス自体が優秀ですし、その分、事前の情報収集や調査といった事柄に重きを置いています。
領域呪文のリスト、神聖伝導、サブクラス能力と全てが情報収集と真実を明らかにすることに主眼をおいており、この潜在的に強力なサブクラスを最大限に活用するには、準備が大切な要素になっています。
伝統的なハック&スラッシュのシナリオでは、残念ながらこのサブクラスはあまり活躍の場があるとは言えないかもしれません。
しかし、大きな謎を解いていく必要があり、複数のNPCが複雑に絡み合っているようなロングキャンペーンにおいて、あなたの持つ知識の力は重要なものになりえます。
通常では知りえることのできない情報を知りえることは、次に取るべき最適な行動を知れるということです。
知識の領域の全ての側面は、その情報を蓄積するという目的に向かって突き進んでおり、それはうまく機能しています。
マインド・リーディングやサイコメトリーといったユニークでカッコいい能力をフル活用して、事件を解決に導きましょう!ぜひ使ってみてください。
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