幻を現実であると誤認させることを得意としているこの学派は、人々を楽しませるために幻術を使うこともありますし、恐怖を与えるために幻術を使うこともあります。
成長していくにつれて、あなたの幻はだんだん強力になっていき、最終的に実体を持つにまで至るでしょう。実体を持つイメージ…それはつまり、無限の可能性です。
この学派は創造性を最重要視しており、ほとんどすべての能力が、あなたの使う幻術をよりインパクトのあるものにし、より信じてもらうに値するようなものであると見せることに全てを注ぎ込まれています。
したがって、このサブクラスのポテンシャルを発揮するにはあなたと、あなたのDMがどれだけ想像力に優れているかが大切になってきます。
あなたの使う幻術は、この学派でどのように現実味を帯びるのでしょうか?実際に見て行きましょう。
幻術の専門家
他のウィザードサブクラスと同様に、この能力は完全にDMに依存しています。
敵のキャスターと戦い、彼らが本を落としたときに、いくつかのスペルを覚える機会があるかもしれません。比較的多くの魔法使いは、ブラーやミラー・イメージ、インビジビリティなどの幻術呪文を持っていることが多いでしょう。
しかし、もしあなたのDMが魔導書の中身を構築することに積極的でないならば、あなたは自分でこれらの呪文を学ぶ必要があるでしょう。
幻術系統の呪文には有用な様々な制御呪文がありますが、幻術の学派に直接シナジーが及ぼされる必須呪文は実は「~・イメージ」と名前がついているものだけです。
ただ、フィアー、ヒプノティック・パターン、ファンタズマル・フォースなど、幻術系統の呪文には非常に有用な呪文が数多く揃っているため、この能力で安く仕入れられるチャンスを逃さないようにしましょう。
これらの視覚に影響を及ぼす幻術のいくつかは、幻を見ることができない/視覚に頼る必要がないいくつかのクリーチャーには全く効果がないことに気を付けて下さい。
マイナー・イリュージョン強化
既に修得済みであるなら、他の任意のウィザード初級呪文を習得する。
これは君の初級呪文修得数の計算には含めない。
さらに君はマイナー・イリュージョンを発動する際、この呪文を1回発動するだけで、音と映像の両方を生み出すことができる。
つまり、この能力の前半部分は、初級呪文をもう一つ追加するということです。初級呪文のリストは限られていますので、追加で初級呪文を得られることは常に良いことです。
さらに、音と映像を同時に作り出すことができます。これは大きいです。通常はどちらか一方しか得ることはできません。
Lv1呪文のサイレント・イメージも音は生み出すことはできないため、場合によってはこの強化された初級呪文がサイレント・イメージを上回ることもあるでしょう。
サイレント・イメージが上回っているのは幻の持続時間や作り出す幻の最大サイズ、そして幻を動かすことができるかどうかです。
それらが必要ない場面であれば、この強化されたマイナー・イリュージョンの方が素晴らしい幻覚効果を生み出せるでしょう。
マイナー・イリュージョンはそれ自体が機転によって素晴らしい問題解決ツールとして機能していましたが、それがかなり現実的になったといえます。
たとえば衛兵は、何かの足音を聞いた後に、幻で作られた何かが倒れている物の影を見たのであればそれを調査しようとする可能性がより高まるでしょう。
これがどのように効果を挙げるかはDM次第ではありますが、少なくともこの強化によって、マイナー・イリュージョンの使い勝手はLv1呪文相当のスペックへと昇華されています。
マイナー・イリュージョンは持続時間が短いため、これらの実践的な使い方としては、戦闘を開始するためにどういう手段をとるべきかといったことを考える際に役に立つでしょう。
うまく使うことで、あなたのパーティはより有利な状況、有利な配置で戦闘を開始できるはずです。
可変幻影
幻の性質を変化させることができる、というのはかなり曖昧な表現になっていますが、これは一般的な幻術呪文にとって大きな変化です。
作り出す幻影は作り出した時点で決まっており、新しい状況に対応することができませんでした。今では違います。
完全にDMの解釈の問題になりますが、この“幻の性質を変化させる”というのをダイナミックに解釈するとすると、例えば幻で出来た花束を、幻で出来た剣に変えてしまったりする以外にも、静止している幻に動きをつけることも可能になるかもしれません。
それはサイレント・イメージやメジャー・イメージが持つ、幻を移動させる能力と同じ現象を起こすことが可能ということであり、あなたの持つ音を出すこともできるマイナー・イリュージョンが(それが可能であり、サイズや持続時間、感覚の問題を解決しているなら)3Lv魔法であるメジャー・イメージ相当の効力を発揮するということを意味します。
さすがにそれらの問題は比較的大きいため(特に感覚を再現することができない点など)、Lv3呪文相当というのは言い過ぎかもしれませんが、うまく使うことによってサイレント・イメージ以上の幻術として扱うことはできるでしょう。
この能力はマイナー・イリュージョンやサイレント・イメージ、メジャー・イメージといった幻術にさらなる使い道を与えることが主に思えますが、持続時間1分以上の幻術系統というのは他にも数多くあります。
シミュレイクラム、ドリーム、プログラム・イリュージョンなど…。それらの幻影を変更することでどのような現象が起きるのか考えてみるのも楽しいでしょう。
幻影変り身
クリーチャーがあなたに攻撃ロールを行うとき、君はリアクションを用いて攻撃者に自分を象った幻を攻撃させることができる。
君への攻撃ロールは自動的にミスし、幻は掻き消える。
この特徴は一度使用したら、大休憩または小休憩をとるまで再使用できない。
小休憩一回ごとに必ず敵の攻撃を回避できるようになります。悪くないですね。
これは幻術の学派の能力において、唯一DMに左右されない能力です。
幻影変り身の能力には、攻撃ロールの結果を見れるかどうかが書いていないため、ここでは、自分に対する攻撃が宣言されたときに、この能力を使うと解釈します。
攻撃ロールの結果を見てから使えるのであればさらに素晴らしい能力になります。
無料で一回無限のACを得られることは、ACが低く、普段はあまり狙われない立ち位置を取っているはずのウィザードにとってかなりの恩恵があります。
この効果によって、前に立つことはできませんが、他の学派のウィザードよりもほんの少しだけ耐久力があるように振舞えるでしょう。
セーヴを要求する呪文は残念ながらこの能力で避けることはできませんが、DMが幻術呪文に対して理解があるのであれば、幻術を使って敵の行動を何回か無効化できているかもしれません。
よって、システム側で保証されているわけではありませんが、比較的この学派は防御にやや優れていると言うことができます。
また、この能力は小休憩でリフレッシュされるのも良いポイントです。
小休憩で復活する能力の中では比較的よい性能をしているため、あなたのパーティメンバーが小休憩回復リソースを使っていた場合、積極的に休憩の提案をしてもよいでしょう。
ウィザードであれば、一回目の小休憩で呪文スロットも回復するため、良いこと尽くめです。
実態ある幻影
君は呪文レベル1以上の幻術呪文を発動するとき、その幻の一部である、魔法的でなく、かつ自立行動能力を持っていない物体一個を選択して、これを実態あるものとすることができる。
君はその呪文の持続時間中、自分のターンで一回のボーナス・アクションとしてこの操作を行える。その選択した物体は一分間の間、実体を持つ。
たとえば君は地割れに幻の橋をかけた後、味方が渡り切る間、その幻に実体を持たせることができるのである。
ついにあなたは、幻術に実体を持たせることができるようになりました。これは本当に恐ろしい能力です。
もはやここまでくると、召喚術系統よりも召喚術が得意だと言っても良いでしょう。
あなたは思いつくままのイメージを1分間具現化することができます。
敵の周囲に檻の幻術をかけ、それを実体化させる。
幻影で作った地面から突き出る無数の鋭利な刃が実体化する。
幻影で作った石の壁が、敵の視界を塞ぐように実体化する…。
さらに”可変幻影”の効果によって、あなたは作った”幻影の性質を変える”ことができるようになっていることも忘れないでください。
つまり、実体を持った幻影ですら途中で変化させることが可能だということで、これは無限の可能性を与えます。
これらをLv1呪文であるサイレント・イメージで再現することができます。
疑似呪文であるスパイク・グロウスやウォール・オブ・ストーンといった呪文はLv2だったりLv5呪文であるため、もはやあなたはこの能力の使い方次第では、呪文Lvという概念すら超越し始めるでしょう。
実体化の対象に取れる物は“物体”であり、“自立移動能力を持っていない”物であり、Lv1以上の幻術を発動したときに限ります。また、作った物体自体がダメージを与えたりその他の方法でダメージを与えることはできません。
つまり、マイナー・イリュージョンでは実体化させられませんし、クリーチャーの幻影などは実体化させることはできません。バリスタを作って敵にダメージを与えるなどはできないでしょう。
しかし、この呪文は、想像力によって無限のロールプレイの可能性と、半無限の戦闘能力をあなたに与えるでしょう。DMが協力的であるならば、世界はあなたのものです!
幻術の学派に対する見解
幻術の学派は非常に…非常に優れており、特に最後に覚える能力は他のどんな学派、他のどんなクラスすら寄せ付けない可能性とポテンシャルを秘めています。
しかし、大きな問題は、幻術という魔法のジャンル自体が明確にデータとして数値の保証がなされているわけではなく、ほとんど完全にあなたと、そしてあなたのDMの想像力および許容量に依存しているということです。
この学派を完全に使いこなすには、あなたとDMの相互協力が不可欠です。
機械的にデータとして保証されている能力は”幻影変り身”しか存在しておらず、また幻術は、完全に耐性があるクリーチャーがいくつか存在しているため、それだけに頼るといったこともできません。
総じて上級者向けのサブクラスであることは間違いありません。
しかしそれでも、誤解を恐れずゲーム的な方向性を私的な見解で位置づけるのであれば、この学派は初級呪文のマイナー・イリュージョンを強化していき、うまく状況をやり過ごしたり、戦闘開始時の状況をより良い形で開始できるように調整していくクラスであると印象付けられます。
そして、その地味な期間を終え、Lv14になった瞬間に、最終的に幻術で全てを解決できるように開花するという大器晩成なクラスであるともいえるでしょう。
重ねて言いますが、このクラスは上級者向けです。
あなたがどれだけ素晴らしい発想をしたと思っていても、DMの協力が得られなくては全てうまくいきません。
“幻術という免罪符で無理やり状況を押し通そうとしている”とDMに悪く思われてしまっては、全てうまくいかなくなります。
DMとの双方向のコミュニケーションが特に大切なクラスであり、二人三脚でやっているとの気持ちを常に忘れないようにしましょう。
それらがうまくできるのであれば、このクラスはあなたの無限の創造性から、無限の状況解決能力を生み出すことができるはずです!難しいとは思いますが、挑戦してみる価値はあります。
コメント