PHBに記載されているシーフは泥棒という直訳を持つローグのサブクラスですが、必ずしも犯罪者というわけではなく、プロのトレジャーハンター、冒険家、探検家もこのクラスの仲間になります。
アサシンが奇襲と潜入を重視している一方、シーフは道具をうまく操り、多芸な戦法を得意とします。
様々な消耗品アイテムを使いこなし、古代の廃墟を探検し、危険な場所を偵察し、錠前と魔法の遺物の両方を扱うプロフェッショナル。それがシーフなのです。
消耗品を使いこなすとはどういうことなのか?実際に確認していきましょう。
器用な指先
さて、これは過小評価されがちですが優秀な能力です。
ボーナス・アクションを用いて手先の早業を行うことと、罠の解除や解錠を行うことは残念ながらあまり利用方法がありません。
役に立つシチュエーションは限られており、あなたは武器を後ろ手に隠しながら交渉に臨み、ペテンを振ることができたり、戦闘ラウンド中に発動しかかっている、両側から迫ってくる壁の罠を片手間で解除できたりするでしょう。
しかしこれらの状況は限定されすぎてており、汎用性がありません。
注目したいのは“物体の操作”アクションができるという部分です。
注意しなければならないのは、他のアクションの一部として行える“物体を扱う”という行動と(武器を構える、武器をしまう、扉を開ける、他のキャラクターにアイテムを手渡す、物を蹴り飛ばす)、“物体の操作”アクションは根本的に違うものであるということです。
もちろん、同一ターン中に”物体を扱う”行動を2回行いたい場合は、”物体の操作”アクションで2回目を行う必要があります。
しかし、この“物体の操作”アクションというのは、使用するのにアクションが必要になるアイテムを使用するためのアクションであるというのが根本的な使い方です。
さて、DMG141ページにハッキリと“魔法のアイテムの起動は”物体の操作”アクションによって行うことはできない”と記載されています。これは逆に言うと、魔法でないアイテムはこの”物体の操作”アクションで使用できることを意味しています。
なので、残念ながらヒーリング・ポーションは魔法のアイテムのため、これをシーフがボーナス・アクションで使用することはできません。
しかし、それ以外の品、PHB掲載の範疇でも油、基本的な毒、獣罠、酸、聖水、小さな金属球、治療道具、まきびし、錬金術師の火、(恐らく耐毒剤も)などは使用することができるのです!
また、場合によっては盾の着脱もボーナス・アクションで可能でしょう。(ローグは盾に習熟していませんが)
これらのアイテムは消耗品なので、GPがだいぶかかりますが、ボーナス・アクションの使い道としてこれ以上ないほどの多岐に渡る利用方法をシーフに与えます。
魔法でない消耗品アイテムの利用は、通常のキャラクターはあまり行わないため見落としがちですが、シーフはそういった小道具をうまく使いこなすことができるのです。
屋根渡り
シーフが最初に貰える第二の能力で、これはシーフの機動性を高めます。
登攀移動は悪いものではありません。この能力によってあなたは事実上、歩行移動速度と同じだけの登攀移動速度を得ることになります。
最初のレベルのうちでは登攀は飛行の代わりになります。
高台に登って窮地を脱したり、上から矢を射かけたり、角度的に見えない位置で隠密になってから攻撃を加えることもできるかもしれません。
ほとんどすべてのダンジョンには壁があり、登山道具などがあれば疑似的に自分の身体を空中に留めておくこともできるかもしれません。
他のキャラクターが早足を使わないと登れないような壁も、あなたは難なく登り、上に陣取ることができるでしょう。それは戦術的に大きなアドバンテージになるはずです。
もう一つの跳躍距離が延びるボーナスは、あなたが跳躍できるスクエアを事実上+1マスするスキルのようなものです。
ほとんどのローグは筋力をあまり上げず、8か10であることが殆どでしょう。
一方敏捷力は上げる傾向があるため、筋力値が8だった場合、通常走り幅跳びの跳躍距離が8ftのところ、補正込みで少なくとも10ftは超えることになります。
つまりスクエア換算で+1マス。筋力値10だった場合、最終的に敏捷力が20になった場合補正値が+5されるため、飛べる距離は15ftとなりやはり+1マスとなります。
+1マス余分に走り幅跳びができるということは、普段はあまり役に立ちませんが、凝ったダンジョンを探索するときには役に立ちます。
何よりシーフは自分で油やまきびしや金属球を地面にバラ撒く傾向があり、これらを回避するのにも役立つでしょう。
パッと見ただけでは何に役に立つのかわからない能力が多いですが、しっかりと役に立ちます。
隠密無双
ローグは、隠密による恩恵を通常のクラスよりも多く受けているクラスです。
そのようなクラスが、隠密判定に有利を得られるというのは良いことでしょう。
隠密になるということは、透明になるというのとほぼ同義であり、さらに、この恩恵を得るための条件はかなり緩く設定されています。
戦闘中以外であればほぼ確実に発動することができますし、戦闘中であっても発動はそこまで難しくありません。
隠密を有利で振るということは、達成値が高くなることを意味します。
隠密の達成値が高いということは、安定して受動知覚を超えることができ、隠密行為が、簡単に露見しないことを意味します。
戦闘中に発動すれば安定したステルスアタッカー、戦闘外では優秀なスカウトになることができるでしょう。
魔法装置使用
パーティのレベルが13ごろになってくると、どうしても誰も扱うことのできないマジックアイテムが出てきます。
妙技武器使いしかいないのに、魔法のロングソードを手に入れるとか、クレリック専用の杖を手に入れたけど、武器攻撃をしているためそれを殆ど使っていないとか。いろいろあります。
アイテムの扱いに優れたシーフなら、それらの掘り出し物を扱うことができます!
一部のマジックアイテムは、シーフもあまり必要としません。たとえば、呪文の攻撃ロールにボーナスを得るようなアイテムは不要です。
しかし、最初から呪文が込められているような杖は、そのクラスのレベルがないにも関わらず扱うことができます。
魔法武器を効果的に扱うには武器熟練度が必要ですが、シーフの装備の幅はうんと広がるはずです。
神速
戦闘の1ラウンド目に通常の二倍動けるようになる能力です。
二回ターンが回ってくるということは、二回攻撃ができるようになる以外にも、移動距離も倍になり、ボーナス・アクションも二回行えることを意味します。
事実上、自分専用の不意打ちラウンドを毎回得られているようなものであり、非常に強力なのは間違いありません。
急所攻撃の発動要件も1ターンに1回なので、問題なく2回ぶん発動することができます。
このボーナスは、戦闘の最初のラウンドのみ適用されるため、戦闘が長引けば長引くほど効果は相対的に薄れてきます。
1回ごとの戦闘は短期決戦で、数をこなせるような場合はこの能力をフルに活かすことができるでしょう。
シーフに対する見解
シーフは、その手先の器用さによって、道具の扱いに非常に長けたローグです。
一般アイテムを素早く利用することから、通常扱うことのできない魔法のアイテムまで彼らは使うことができ、外部の力によって彼らの能力は底上げされていきます。
【敏捷力】にも優れており、他のローグにはない機動性と隠密性能も所持しているため、先行偵察、斥候といったようなローグの基本的な仕事もばっちりこなせるでしょう。
最後に覚える能力こそ強力で、あなたの戦闘能力が大きく向上しますが、それまではあなたの戦闘能力が直接上がることはなく、あくまでもアイテムを使いこなせるかどうかにかかっています。
しかしそれでも、普段見向きもしていなかった消耗品アイテムに目を向け、それらを便利に使いこなせるクラスというのはシーフ以外にありません。
アイテムを器用に扱いたいならシーフをおすすめします!
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