PHBには二つのバードサブクラスがあり、そのうちの一つが勇の楽派です。
バードはもともと万能なクラスで支援やパーティの穴を埋める動きが得意でしたが、武器戦闘能力に関して少し不安が残っていました。
この学派はその武器戦闘能力を補強し、バードが武器戦闘に十分耐えうる力を与えてくれます。
さらに、特別な支援能力によって、武器戦闘を行う味方の潜在能力をさらに引き出すことも可能です。彼らの持つ力を見ていきましょう!
習熟追加
この習熟によって、勇の楽派は他のバードサブクラスと比較して、あなたのACに良い影響を与え、より高いダメージを出せる武器にアクセスすることができます。
中装鎧は主に勇の楽派の序盤のACを改善します。
通常のバードは初期装備としてレザー・アーマー。すぐスタデッド・レザーに切り替えるでしょうから、ACは12+2~3の14~15が基準値です。一方、標準的な序盤の中装鎧はスケイル・メイルで、こちらはACが14+2の16となります。標準的なバードよりも硬くなると言えるでしょう。
ただし、これはレベルアップに従って、能力値上昇で【敏捷力】を上げると差が詰まってきます。
軽装鎧でも【敏捷力】18でACは16、【敏捷力】20でACは17に達します。中装鎧も最終的にハーフ・プレートまで行けばACは17になりますが、【敏捷力】の上昇に伴う恩恵を受けることはありません。
しかし、最初から中装鎧の習熟を持っているのは悪いことではありません。
差は詰まると言いましたが、逆転されることはありません。またバードは、妙技武器、もしくは遠隔武器による武器戦闘を主に考えていない限り【敏捷力】の上昇まで手が回らないことがありますし、【敏捷力】をそこまで上げずとも一定のACが保障されていることを意味します。やはり他のバード楽派よりかは硬いと言って間違いありません。
さらに、最初から中装鎧の習熟があるということは、特技の”重装鎧の習熟”にもアクセスできることを意味します。プレートはAC18であり、重武器や間合い武器にも習熟するという相性の良さから勇の楽派は【敏捷力】を一定で止めた【筋力】ビルドになることも可能でしょう。
盾への習熟は素晴らしいです。他のバードの楽派は盾に習熟することができませんので、これは勇の楽派のみの特権と言えます。
盾を装備する場合ACが+2されますので、さらに前衛への適性が高まると言って良いでしょう。
ただし、ここで彼らはエルドリッチ・ナイトと同じ悩みを受けることになります。即ち、両手が塞がることによって呪文発動の要件を満たせなくなる可能性です。
エルドリッチ・ナイトたちがリアクション呪文の使用可否で悩んでいたのに対し、バードはリアクションで使える魔法はフェザー・フォールぐらいしかありません。
そのため、リアクション呪文を使う必要性は薄く、自分のターン以外は武器を握っていても問題ありません。
問題になるのは自分のターンで呪文を発動するときで、かなりの数の呪文が動作要素や物質要素を有しています。
呪文発動するターンは素直に武器をしまい、または手放し、機会攻撃を諦める、または戦場の術者の特技を取得して両手が塞がっていても使える呪文の幅を広げるなどの対策があります。
ただしパラディンなどと違い、盾と焦点具を一体化できないため、特技があっても物質要素を扱うことはできず、戦場の術者とは100%のシナジーがないことに気を付けて下さい。
また、両手が塞がっている状態から1ターンで物質要素を取り出すには、武器を捨てる必要がありますが、武器を捨てたままターンを終了することもそれなりに危険です。
エルドリッチ・ナイトたちとは違い、捨てた武器を蹴り飛ばされた場合、回収する手段が勇の楽派にはありません。盾を持ったまま動作要素や物質要素がある呪文を唱える場合、こういったリスクを常に加味する必要があります。
個人的なオススメは、戦闘中に使う呪文は音声要素のみの呪文に集中してしまうことです。
幸い、バードの持つ戦闘中に有用ないくつかの呪文は音声要素のみで発動することができます。
コマンド(ターシャの万能釜環境)、ディソナントウィスパーズ、ヒーリングワード、フェアリーファイア、ブラインドネス/デフネスなど。
戦闘中はこういった呪文を使うことだけに留めてしまえば両手が塞がっていることも気になりません。
ただし、あなたのゲーム環境が、ターン中に落とした武器を即座に拾える環境であればこういった悩みからは解放されます。DMに確認してください。
軍用武器への習熟は、バードが通常習熟できない装備へのアクセスを可能にし、より高い武器攻撃ダメージを出すことを可能にします。
実はバードはかなり堅実な軍用武器に最初から習熟しており、ほとんどの場合はこれで事足りてしまいます。つまりハンド・クロスボウ、ロングソード、レイピア、ショートソード。
実際のところ、【敏捷力】を上げるビルドの場合、近接戦闘を行うのであれば、盾持ちであればレイピア、二刀流であればショートソードで充分です。
遠隔戦闘を行う場合、最初から習熟しているハンド・クロスボウに加えてダメージダイスが大きいロングボウの選択肢が増えます。
ハンド・クロスボウをメインで使う場合、後のレベルで覚える追加攻撃との相性があるため、特技の”クロスボウの達人”の取得はほぼ必須になります。
“クロスボウの達人”自体は非常に強い特技で、遠隔ビルドを組む場合常に選択肢に上がってくると思いますが、バードは、バードの声援や、ヒーリング・ワードなどの呪文、勇の楽派の後で覚える特技などの都合上、既にボーナス・アクションをそれなりの頻度で使うことに気を付けて下さい。
ロングボウには装填特性がありませんので、こちらを使う場合は特に必須特技はありません。単純武器のショートボウより射程もあり、ダメージも出るため、それはありがたいことです。
【筋力】ビルドをしている場合、重武器や間合い武器にもアクセスすることができるようになります。通常のバードはこれらの装備を使うことはないため、面白みがあるでしょう。
まとめると、この習熟追加能力によって通常のバードが得られないメリットは以下の通りになります。比較的ACが高まりやすいため、第二の前衛として十分に仕事をすることができるでしょう。
これらに魅力を感じないのであれば、通常のバードで充分であり、他の楽派を検討しても良いかもしれません。
戦の声援
君の声援ダイスを持っているクリーチャーは、自分の武器ダメージ・ロールにもその声援ダイスを使い、結果の値を加えることができる。
また自分への攻撃ロールをされた際、リアクションとしてその声援ダイスを使い、自分のACに結果の値を加えることもできる。この加算はヒットかミスか確定する前であれば、敵の攻撃ロールの結果を見た後で良い。
通常のバードの声援も十分良いものでしたが、戦の声援はその支援能力をさらに拡張し、汎用性を高めています。
これによって、勇の楽派の支援を受けたクリーチャーは、10分以内に使う1回の能力値判定、攻撃ロール、セーヴィング・スロー、ダメージ・ロール、ACのうち一つに、ダイスを加算することができます!
それはこのゲーム中におけるあらゆるダイスロールの全てであり、タイミングがなく10分以内に使えなかったということがほぼありません。
ダメージロールに加算するよりも、攻撃ロールに加算し、ミスをヒットに変える方が支援能力として有用に思うかもしれませんが、敵のACが低いときなど、そもそも攻撃ロールに加算する必要がないときはよくあります。
また、ミスしたが敵のACが良く分かっていないなど、攻撃ロールにいくつ足せばヒットに変わるのか分からないときなど意外と使用を躊躇してしまうこともあります。
そうこうしているうちに持続時間が経過してしまっては勿体ないですよね?
ダメージロールへの加算はそういった心配はありません。ヒットを確認したら何も考えず足しても良いのです。
弱いクリーチャー相手だとオーバーキルになってしまう可能性はありますが、強敵相手への一打目などは間違いなく無駄にはなりません。
Lv5からは小休憩ごとに声援ダイスが全回復しますので、テンポよくこのダイスを使えるということはリソースを余らせず効率よく消費できるということを意味します。高い汎用性。
さらに興味深いのはACへの加算です。リアクションを消費しますが、この使用方法はACを一瞬だけ1~12高めることができ、あなたの味方は敵の攻撃を防ぐ大きなチャンスを手に入れることになります。
この能力の有効性は、敵のACはわからないことがあるのに対し、味方は自分のACは間違いなく把握しているという点です。
よって、敵の攻撃ロールの値を見て、ACにいくつ足されたら攻撃をミスに変えることができるのかを正確に把握することができ、その点で攻撃ロールに使うよりも潜在的に優れたものになります。
外部からの支援効果は忘れがちなので、パーティメンバーがこの機能を使えることをあなたが思い出させてあげてください。
注意点として、これはやはり声援ダイスなので、自分を対象に取ることはできないということです。
勇の楽派は防御力も高く、前線で武器攻撃をする力もありますが、最低でも後一人は前線で武器攻撃をする仲間が必要です。
追加攻撃
ファイターやパラディン、バーバリアンが5Lvで覚える特技と同一のものです。
バードは純粋な前衛職ではなく、むしろフルキャスター寄りのクラスですが、勇の楽派においてはその法則は当てはまらず、彼らと同等の戦闘能力を保有することになります。
覚えるレべルこそ1レベル遅いですが、この特技を覚えることによって、武器戦闘能力は文字通り倍増することになります。
そもそも、バードは攻撃が得意なクラスではありませんでした。
相手を攻撃する初級呪文は、サンダークラップとヴィシャス・モッカリィしか存在しておらず、サンダークラップが輝くには複数の敵クリーチャーが周囲にいる必要があり、ヴィシャス・モッカリィは特殊効果は有用ですが、ダメージが低いです。
つまり、バードが単体の敵にダメージを出そうと思った場合、武器攻撃が最善の選択になる可能性が高く、この特技を得た勇の楽派は文字通り他の楽派の二倍ダメージを出すことを可能にします。
バードは戦闘スタイルを取ることはできないため、自分が使う武器に関するスタイルを選べず、結果として純粋なファイターたちよりもダメージは伸びないかもしれません。
しかしそれでも、他の楽派のバードたちよりあなたは硬く、そして最も武器攻撃での威力が出ます。そして何より、純粋なファイターたちとほぼ同等の戦闘能力を有したまま、あなたはバードとして支援をし、魔法を使うことができます。
それは素晴らしいことです。どんな武器を使っても攻撃回数は二倍になるため、欠点らしい欠点はありません。武器攻撃と大きなシナジーがある良い能力です。
呪文武器連撃
君はアクションを用いてバード呪文を発動するなら、同じターンに1回のボーナスアクションとして1回の武器攻撃を行える。
さて、14Lvで勇の楽派は、エルドリッチナイトが18lvで覚えた能力を覚えることができます。これは初級呪文でも構いませんので、エルドリッチナイトが7lvで覚える能力も同時に内包しています。
また、バードは魔法の秘密の能力により、あらゆるクラスから必要な呪文を引っ張ってくることができます。
汎用性のあるダメージ呪文が欲しいならグリーンフレイム・ブレイドを取ってくることもでき、手の届く幅を広げたいならフライを覚えることもでき、属性防御を重視しているならプロテクション・フロム・エナジーを拾ってくることもできます。万能。
呪文を唱えた後に武器攻撃できるのは素晴らしいことですが、両手が塞がっている場合、動作・物質要素のある呪文の発動要件には十分注意してください。
特に物質要素を取り出すのにその他アクションを使ってしまうと、その後武器を抜くことができません。エルドリッチ・ナイトのように片手武器一本持ちスタイルにできれば呪文発動に関しては楽になりますが、バードのヒットポイントやAC的に不安が残ります。痛し痒し。
それでもあらゆるクラスから魔法を拾ってくることができ、さらにその魔法を使った後に攻撃ができるというのは唯一無二のものであり、素晴らしい能力です。
追加攻撃とは相反している能力のため、ダメージを与える呪文を覚えたいと思った際は、無料の一回の武器攻撃以上に期待値が出せる局面がある呪文か?を念頭において選択すると良いでしょう。
勇の楽派に対する見解
勇の楽派は、魔法と武器戦闘の高いレベルでの融合に加え、近接戦闘を行う仲間への支援能力もある多芸なクラスです。
エルドリッチ・ナイトと比較すると、武器の選択に苦労しているのは同じですが、呪文の自由度もスロット数も勇の楽派の方が高いです。
呪文と武器を同時に扱う能力も勇の楽派の方が早く習得することができ、さらに声援による戦闘行動に関する支援能力も完璧で、魔術支援から武器戦闘まで万能な魔法戦士、指揮官タイプの戦士としてのイメージが掴めるでしょう。
一方、純粋な戦士としての能力は重装鎧を最初から使え、四回攻撃ができ、ヒットダイスも大きい彼らに一歩譲ります。
とはいえ、勇の楽派がバードのサブクラスの中で戦士として最高水準の能力を兼ね備えていることに変わりはなく、バードの持つ万能性を、より武器戦闘方面に尖らせたクラスと言って良いでしょう。
バードの中では武器によるダメージを出すことに向いており、前衛として立つ防御力も十分にあります。
そして汎用性が高く回転率の高い声援ダイスの力により、小休憩が頻繁に取れる環境ではあなたのパーティメンバーの近接戦闘能力は恐ろしい高まりを見せるでしょう。
さらにバードが本来持っている様々な技能/能力/呪文による支援能力もそのまま使っていけるのです!
文字通りあらゆる局面でマルチに活躍することができる万能なサブクラスと言ってよく、純粋な戦士とは一味違った活躍が見込めます。
あなた以外に前線で戦う味方がいるとき、あなたは真の力を発揮します!彼らの士気を高め、潜在能力を倍加させ、かつ自分は味方と肩を並べて戦うクラスがやりたいという指揮官のようなキャラクターにピッタリです!ぜひ使ってみてください。
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