アサシンは、奇襲・暗殺・潜入と言った事柄に焦点を当てているローグサブクラスの一つです。序盤と終盤に2個の不意打ち用能力を得て、それ以外に2個の潜入ミッション用の能力を得ます。
これらの能力はハマれば恐ろしい爆発力を見せます!あなたがスニークアタックや敵地への潜入といった要素に対し魅力を感じるのであれば、このサブクラスはピッタリかもしれません。どういった能力で行動をサポートしてくれるのか見てみましょう!
習熟追加
道具習熟の有用性は、あなたとDMの想像力に大きく依存します。その中でもこれらの道具は比較的実用的です。ザナサーの百科全書本に道具の判定例が乗っていますが、変装用具はどのような人物に変装するかに応じた各種【魅力】技能判定が多いようです。実プレイ面では、うまく変装できたかという判定が最初に入ることもあります。敵に変装するなど、うまくいけばユニークな状況で戦闘を開始できるかもしれません。どのようなことがしたいのか、しっかりDMと相談するとうまくいくでしょう。
調毒道具はあまり一般的な道具ではありませんが、アサシンというサブクラスのフレーバーによく合致しています。実際に毒を作成するための判定はDMの裁量次第です。
冒険と冒険の空き時間に毒を作るのも良いでしょう。PHBやDMGには実際に、どのような毒が存在しているのかの一覧が記載されていますので参考にすると良いでしょう。
毒は塗布するのに1アクションを要し、残念ながら効かないクリーチャーもそれなりに多いです。戦闘が始まってから使うのには向きませんが、しかし事前準備のチャンスがあれば狙ってみてください。効く相手には確実にダメージの底上げに繋がります。
ローグはこれらの道具を初期で持ってはいませんので、これらの道具を使いたいのであれば予め買っておく必要があることに注意してください。
暗殺術
君は戦闘でまだ自分のターンを開始していないクリーチャーに対する攻撃ロールに有利を得る。さらに不意を打たれたクリーチャーに対して君がヒットを与えたならクリティカル・ヒットになる。
不意打ちラウンドで相手はまだ戦闘で自分のターンを獲得していないとみなされます。
つまり奇襲が成功した場合、アサシンは敵に対して有利で振り、それがヒットを与えたら自動でクリティカル・ヒットになり二倍のダメージを与える。さらにそこから通常の戦闘ラウンドが始まるため、あなたのイニシアチブが高ければまだ有利で振れるチャンスがあるでしょう。
非常に強力な特技!戦闘の開始時、特に不意打ちで始まった場合はあなたの独壇場です!
ローグは急所攻撃によってダイスによるダメージが高くなりやすく、ダイスのダメージを倍にしてくれるクリティカル・ヒットとの相性はとても良いです。
不意打ちラウンドであなたしか動けなかったとしても、攻撃には有利が乗るため急所攻撃の発動条件を満たします。高シナジー。1ターン1回という制限もないため、複数回の攻撃手段を持っているなら、それら全てに前述のボーナスが乗ります。
問題は、不意打ちというのは、D&D5eの中でもDMによって判断がかなり違うことが多く、それに大きく能力が依存していることです。
細かい裁定は各DMによって違うでしょうが、大別すると不意打ちの裁定は2パターンに分かれます。
それは、不意打ちを試みようとしたときに、パーティ全員が敵の知覚判定に成功する必要があり、一人でも失敗すると不意打ち自体が失敗に終わると裁定しているパターン1と、敵の知覚判定に成功した人は不意打ちでき、失敗した人は不意打ちできないとしているパターン2です。
パーティの前衛・後衛を分けることによって、前衛のみが不意打ち判定し、後衛はそもそも不意打ちラウンドに参加しないとするなど両者の合いの子ルールを採用しているDMもいます。
前者のルールを採用していると、不意打ちの実行は困難です。パス・ウィズアウト・トレイスやサイレンスなどあなた以外の魔法の助けを借りてようやく可能性が生まれます。単純に試行回数(失敗確率)が増え、またあなたの仲間は隠密に不利な鎧を着ている者がいるはずで、それら全員が成功するのは困難でしょう。
後者のルールを採用していると、あなたはそれなりの可能性で不意打ちを実行できる可能性があるため、このサブクラスを選択する意義が大きく増加します。
またアサシンは、3レベルに覚えるこの能力以降、戦闘に直接関係している能力は、17レベルまで追加されません、つまり、戦闘に関する能力は基本的にこれ一本になります。
そのため、このサブクラスを使いたいと思っているなら少なくともDMに、不意打ちはどのような裁定で行うのかの確認はとった方がいいでしょう。
もちろんそれが毎回厳密に適用されるわけではないでしょうが、このサブクラスを取るべきかどうかの指標になるはずです。
前述の後者のパターンを採用していた場合は、積極的に不意打ちを狙う動きをしても良いでしょう。あなたのプレイグループでの不意打ち可能機会が幸運にも多いときの注意として、あまり手番に時間をかけないことを心がけましょう。そのような場合、戦闘ラウンドの序盤でアサシンのみが連続で行動している場合が多く、不意打ちができないメンバーはその間暇をしています。パーティ全体のテンポを損なわないようにしましょう。
そして前者のパターンだった場合、仲間にレンジャーやドルイドがいないかを確認してください。彼らの持つパス・ウィズアウト・トレイス呪文はパーティ全体の<隠密>を大幅に向上するため、前者のルールだったとしても不意打ちができる可能性が生まれます。またリスクが高いですが、場合によっては単独行動をすることを考えてもいいかもしれません。
もちろん、この不意打ち時の能力が使えなかったとしても、自分のターンを開始していないクリーチャーに対する攻撃ロールに有利を得るという第二の能力は依然有効なままです。
そのため、敵に先行して気づくための<知覚>、不意打ちするために必要な<隠密>、敵に先制して行動するための<イニシアチブ>の三つの判定はアサシンにとって重要な能力値であり、これらをできるだけ高めたいというのは自然な選択肢といえます。ローグの習熟強化でこれらの技能を選ぶ、警戒の特技を取得する、【敏捷力】を高めるなどはよい選択です。
武器の選択はローグが装備できるものであれば特に制限はないでしょうが、せっかく不意打ちラウンドを得たにもかかわらず、距離が遠くて攻撃できないという事態を避けるため、何らかの遠隔攻撃手段は所持しておいた方がよいでしょう。
偽りの素性
実在する特定個人の素性になることはできません。これは例えば、適切な衣服、紹介状、公式に見える証明書を取得して、遠方の商家の一員であることにし、他の裕福な商人と自分の接点を作ることができます。
それ以降、その作成した素性に合わせた身なり、ふるまいを行っている限り、他の者は疑う明確な理由ができるまで君をそのような人物であると信じ込みます。
いわゆる“公的な偽りの身分をデッチあげる”特技です。
書いている内容は面白みがあります。しかし、この能力がうまく機能するためには二つの条件が必要で、それが難しく、あまりキャンペーンで使用する機会はありません。
第一の条件として、まず具体的なシティシナリオが発生する必要があります。ダンジョンの中にいきなり放り込まれて始まるようなシナリオではこの能力は全く役に立ちません。
シティシナリオではこの能力が生きてきます。あなたの他の身分を予め作っておくことは、町中での行動範囲を大幅に引き上げてくれます。あなたは特定のメンバーしか入れないような場所に行き、特定のメンバー間でしか知らないような話を共有することができるでしょう。
シティもののシナリオでは、情報収集をスムーズに行うことができるようになるでしょう。ただし、シナリオ傾向にかなり依存している能力であるため、全くの無駄になってしまうことも少なくはありません。
もう一つの条件は、あなたのパーティはあなたが偽りの身分を作り終えるまで一週間も待たなければいけないということです。のんびりした導入でシナリオが始まるのであれば、予め偽の身分を作っておいたことにできないか相談した方がいいでしょう。
一旦シナリオが始まってしまうと、7日というのはかなりの日数であり、恐らくその間にシナリオは進展(終了)しています。
これらの課題をクリアできるのであれば、この能力はあなたの情報収集の優れた助けになるでしょう!戦闘を次々こなすシナリオよりも、町中での陰謀や事件を解決するのに向いた能力です。
なりすまし
つまり、会話を聞き、書き物を調べ、癖を観察する。 あなたの策略は、何の気なしに見ている者には見分けがつかない。警戒心の強い者が何かおかしいと疑い出した場合でも、あなたは正体が露見することを避けるために行う【魅力】<ペテン>判定に有利で振れる。
このレベルで、潜入に役に立つ能力がさらに増えます。これは偽りの素性よりも時間を短く(それでも三時間かかりますが)、実在している人物にも変装可能なところが異なります。
完全にその人物のことをよく知っている人が、なりすましで変装しているアサシンを見たときにどう思うかには疑問の余地が残りますが、その場合でも明確に、正体露見を防ぐ<ペテン>判定に有利とあるため、そういった違和感を含めて全て解決する能力であると思った方がいいかもしれません。
単なる変装道具を使った変装と、偽りの身分、なりすましと三種類も自分のIDを偽る方法がアサシンにはありますが、実際に使い分けるのは大変です。実際は変装道具があれば事足りる場面も多いでしょう。
それでもあえて使い分けるのであれば、例えば貴族の屋敷に潜入するときに、数いるモブ使用人の一人として潜入するのが変装道具、商人として貴族にアポイントを取り公式に面会を申し入れるのが偽りの身分、屋敷の執事長のアランとしても侵入できるのがなりすましでしょう。(アラン本人は前日までに無力化しておいてください)
化ける対象さえ存在していれば、別にこの能力でモブ使用人の一人になってもいいわけで、対象を観察する時間さえあれば変装道具による変装の上位互換といってよいかもしれません。
こういう変装・ステルスミッションというのはルールで明確化されておらず、プレイグループ次第で潜入の難易度が異なります。一回の判定ミスで正体が露見し、露見した場合一瞬で窮地に陥ってしまう厳しい判定のグループであることも少なくないでしょう、DMの匙加減次第であるリスクの高い行動であることは知っておく必要があります。
例えば判定値が+5で、難易度が10と優しい難易度であったとしても、出目1~4、つまり5回に1回は失敗します。出会い、会話が発生するクリーチャーが毎回判定を要求してくるとそのうち失敗してしまうわけですが、この能力には“何の気なしに見ている者には見分けがつかない”という一文が添えられているのはとても心強いです。<ペテン>に振らなければいけないのはもちろんですが、常に有利で振れるということも潜入に対する安心感が大きく違うでしょう。
シティ系のシナリオで、かつ敵地に乗り込まなければならないときに大いに役に立つ能力です。
暗殺奥義
3レベル以来、ついに再びアサシンの持つ奇襲能力が向上します。
この能力はかなり素晴らしいです。このレベルにおいて典型的なアサシンは+6の習熟度、20の敏捷度を持っています。セーヴ難易度19は殆どのクリーチャーが簡単に成功することはできない値です。
そして、暗殺術の特技と組み合わせることが可能なので、ヒットし、セーヴに失敗した目標はクリティカル・ヒットのダメージのさらに2倍を受けることになります。つまり…4倍ダメージ!
従って、このレベルのアサシンに不意打ちされたクリーチャーは攻撃ロールを有利で振られ、命中した場合4倍のダメージを受けることを意味します。Lv19時点で、あなたは急所攻撃のみで40d6振ることができます。急所攻撃だけで!それ以外の要素は一切考慮していませんが、それらも4倍になります。それは殆ど対象を即死させると言っていいでしょう。
アサシンに対する見解
アサシンは不意打ち時、及び潜入時と特定の状況下で役に立つ能力を兼ね備えたクラスです。
その中でも特に不意打ちができるかどうかというのは非常に重要な要素です。
不意打ちを得ることができなかった場合、ラウンドの最初に有利を得た後、あなたはサブクラスの能力を失います。3Lvでこのサブクラスを得た段階ではそれでも強いのですが、だんだん物足りなくなってきます。
不意打ちができるのなら…あなたの初動における爆発力は全サブクラス一位でしょう。3lvで二倍のダメージを与え、17Lvで四倍のダメージを与えることができます。
その途中にある能力はどれも戦闘には直接関係がなく、展開するシナリオ傾向によって大きく有用性が変わります。
あなたが陰謀渦巻くシティキャンペーンのようなシナリオをプレイしているのであれば、アサシンは完璧なタイミングであらゆる身分に変装することができるため、このサブクラスを選択するメリットが劇的に向上します。
不意打ちがしやすいルールなのかどうかも、シティキャンペーンがあるかどうかも、あなたのプレイグループがどうであるかに依存します。そのため、十全にアサシンの能力を発揮したいのであれば、DMにしっかりルールを確認したり、パーティメンバーのクラスを確認する必要があるため、あまり初心者向きであるサブクラスとは言えないかもしれません。
ただし、戦闘の最初のラウンドで有利がパッシブで貰えるという能力だけでも、PHB範疇のサブクラスでは小細工が必要な他二つに比べて分かりやすく、堅実な火力底上げに繋がりますので、火力を出したい人にはオススメできるクラスであると言えるでしょう。
奇襲が完璧に決まったとき、アサシンの爆発力に病みつきになることは間違いありません!
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