チャンピオンはPHBで紹介されているファイターのサブクラスの一つです。ファイターはもともと武器戦闘の達人として紹介されており、リソース消費の少なさからくる高燃費、継戦能力の高さがウリなクラスでした。
チャンピオンはその特性をさらに生かし、自分の身体を限界まで鍛え、リソースを消費することのないパッシブ戦闘力を底上げしています。具体的にどのような能力を備えているのか見てみましょう!
クリティカル率向上
これはクリティカルの発生確率が二倍になるのと同義であり、さらにクリティカルヒットは発生するとダメージダイスが二倍になるため、これを活かしたキャラビルドができるとシナジーが生まれるでしょう。
具体的には、ダメージダイスが大きい武器を選択する、もしくは攻撃の試行回数を増やすなどが挙げられます。
前者はグレートアックスやグレートソード、モールなどの、1d12や2d6といった、ダメージダイスが大きい両手用の重武器であり、後者は二刀流、もしくはクロスボウの達人によるハンド・クロスボウ攻撃を行い、ボーナスアクションを用いて追加で攻撃することで、攻撃ロールの試行回数を増やし、チャンピオンの優位性を増すことができます。
注意しなければならないのはハーフリングやノームなどの小型種族で、彼らは重武器をうまく扱えないため、不利で振らなければなりません。よって、小型種族をチャンピオンとして使う場合は後者の手法を選択するとよいでしょう。
また、クリティカルが発生した場合、そのクリティカルのダメージダイスを全て二倍にします。これは、何らかの魔法やその他の効果によって、攻撃のダメージに固定値ではなくダイスが追加されていた場合、それらのダイスも二倍になることを意味します。
残念ながらチャンピオン単体では追加のダメージダイスを用意することが難しく、仲間の助けを借りたいところですが、武器攻撃に追加のダメージダイスを乗せる効果全般とチャンピオンは高シナジーだということは覚えておいて損はありません。
抜群の身体能力
これらの能力値を使う技能というのは限られており、具体的には運動、軽業、手先の早業、隠密だけです。さらにこの中からファイターとしてアクセス可能な技能は運動と軽業だけであり、手先の早業と隠密は背景など他の方法から引っ張ってこなければなりません。
チャンピオンはこれらの技能に追加ボーナスを得ることができます。また、アクセス可能な運動や軽業をあえて取得せず、その分の習熟を他に回すこともできるでしょう。ただ、加えられるボーナスは習熟ボーナスの半分ですので、+1~+3と、ボーナスの数値としてはささやかなことに気を付けて下さい。
ここで注目したいのは、それらの能力値判定の全てにボーナスが乗るということです。これは、能力値判定というのは技能を使うものだけでなく、技能を用いない能力値判定も存在するということを意味します。
これは紐づけられた技能が存在しない【耐久力】の判定があることから明らかで、息を止めたり、休みなしで働き続けたり、飲酒コンテストに参加したりといったことに使えるでしょう。
セーヴィング・スローや攻撃ロールは能力値判定ではありませんので、残念ながらこれらのダイスロールにはボーナスを加えることができませんが、技能を使わない能力値判定というものは、割と頻出する要素ですから、忘れないように覚えておくと多少の優位性を得られるでしょう。
また、重要な要素として戦闘開始時のイニシアチブを決めるロールは、技能を用いない【敏捷力】の能力値判定ですので、この抜群の身体能力の効果を適用することができます。
戦闘において殆どの状況下でイニシアチブは高ければ高いほど良いでしょう。よって、イニシアチブに常に最大で+3のボーナスを得ることができるのは非常に素晴らしいことだと言えます。
さらにそれだけでなく、走り幅跳びの距離を最大で+5フィートまで伸ばすことができます。これは現在の【筋力】の値にもよりますが、スクエアによるマップ管理を行っている場合、約1マス分余分に飛ぶことができることを意味します。
跳躍距離が三倍になるジャンプ呪文の効果を適用されれば、抜群の身体能力で得た追加の跳躍距離分も三倍になりますので、筋力値20であれば75フィート跳躍(!)…これは過剰でしょうが、1マス余分に跳躍できるということは、踏んではいけないトラップタイル、地面の裂け目、オイル床などなど…地面に見えている危険を走り幅跳びによって回避できる事例が増えるということを意味します。
抜群の身体能力は全体的に地味ですが、いぶし銀な効果を得られる能力といえます。
戦闘スタイル追加
PHBの範疇では戦闘スタイルは6種類あり、ファイターが1レベルの時点で取得することができました。これをもう一つ得られるのですから、良いことのように思えます。
しかし、良い選択肢は実はそれほど多くありません。最も無難で、かつ良い唯一の組み合わせは、自分がメインで使っている武器に関するもの+防御スタイルでしょう。1レベルの時点で選ばなかった方を取るのが良いでしょう。
最も、これに必ずしも縛られる必要はありません。戦闘スタイルを複数取れるのはチャンピオンだけの特権なのですから、例えば近接武器の何かのスタイル+弓術スタイルでスイッチアタッカーとして如何なる状況でも高打点を与えるキャラになっても良いですし、剣と盾を持っているスタイルなら片手武器戦闘+護衛を選択して、ダメージを与えることと味方の保護の両立をするのもよいでしょう。
この項目は、今後発売予定のターシャの万能釜本に多数の追加戦闘スタイルが収録されますので、それ以降は様々な組み合わせが見られると思います。
現時点では、純粋に防御スタイルを選び、”鎧を着ている間ACを+1する”が最も無難でしょう。そして、それは良いことであり、別に悪いことではありません。
クリティカル率大向上
最初の時点からさらにクリティカル率が向上し、今やチャンピオンのクリティカル率は15%になりました。そして、ファイターがこの15レベルに到達していると、既に一回の攻撃アクションで3回攻撃を行うことができます。
二刀流などのボーナスアクションによる攻撃、怒涛のアクションによる追加のアクションと組み合わせるとさらに3~4回の攻撃を行うことができ、合計最大6~7回の攻撃を行うことができます。これが何のリソースも消費することもなく、全ての攻撃のクリティカル率が3倍になっているのですから、敵に与える被害は甚大なものになります。
クリティカルヒットは前述したように、ダメージのダイスを二倍にするという効果を持ちます。
そのため、このレベルに到達するころまでには、自分の武器のダメージダイス以外に、ダメージダイスを増やす方法を何とか調達したいところです。
自分の剣にダメージダイスを増やすエンチャントが施されたマジックアイテムなど。これは、単にプラス補正が付いたマジックアイテムでない武器の方が親和性があるということを意味するでしょう。
生命力
18レベルともなると、敵の攻撃も苛烈なものになります。D&D5eは、攻撃ロールは比較的よく伸びるのに対し、ACは一定以上は中々上がらなくなります。
これはプレイヤー側もモンスター側も同じ傾向があり、いくらAC特化になったとしても、完全に敵の攻撃を無効化し続けられるのは序盤の間ぐらいで、完全に意味がなくなるとまでは言いませんが、後半は特化したとしても50%程度でヒットしてしまうと思ってよいでしょう。
つまり段々と敵の攻撃はヒットポイントで受けることになっていきます。そして、敵の攻撃が最も集中するのが前衛、つまりファイターであり、チャンピオンです。
そんな前線を強力に支えてくれるのがこの能力と言えるでしょう。この能力は攻撃を受ける機会が多い近接武器攻撃を使うキャラクターとの相性が良いです。ヒットポイントが半分以下の場合、耐久力が20だった場合、毎ターン自分の手番開始時にヒットポイントを10点回復します。
これは毎ラウンド、呪文スロットを一個も使わずに、手番を一切使わずにキュアウーンズが発動しているのとほぼ同じです。非常に素晴らしい耐久性を見せることができ、前衛として求められていることを果たすことができるでしょう。
もちろん大ダメージによって気絶/死亡した場合、この能力は発動しません。が、1点でも味方に回復してもらいこれらの状態から復活することができれば、あなたのターン開始時に能力が発動し、1点は11点になります。
そこから底力などの能力を続けて起動することによって、あなたのヒットポイントは一気に安全圏まで高まり、敵の追撃で即座に倒れることを防いでくれるでしょう。
チャンピオンに対する見解
チャンピオンはファイタークラスの中でも最も基本的なサブクラスと言ってよく、前衛として必要とされる素晴らしいパッシブ能力が揃っています。あらゆるチャンピオンの特性にはリソースが一切必要なく、条件を満たしたら自動で発動するということも素晴らしいです。やや重武器との相性が良いですが、武器攻撃であれば基本的にどのような役割もこなすことができ、シンプルです。
リソースを使わなくても十分な戦闘力を発揮できるというのは、どのような状況下でも最大の力を発揮できるということであり、ゲームに慣れていない初心者が使うのにオススメのサブクラスと言えるでしょう。もちろん、ゲームに慣れてきたプレイヤーがクリティカル最大効率を追い求めてビルドするというのにも面白みを見出すことができるでしょう!
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